秋も深まり、年末に向けて今年も襖・障子の張り替えシーズンが到来しました。
年内納品希望の方はお早めに!
さて反古紙(ほぐしと読む)とは、本来は書き損じや書道の練習したあとの紙のこと。
この反古紙が建具屋にどう関係してくるかというと、古い襖や衝立の張替の時。さぁ張り替えるぞと古い紙をめくっていくと“発掘”されることがあるんです。
実際に“発掘”された反古紙。今回は辞書と写経の後???
襖は障子と違い、1枚だけ紙を貼っておしまい!というわけにはいきません。
表面の襖紙の下に薄い紙を何枚も貼り重ねた構造になっています。
浜松を含む中部地方は板襖の文化圏です。本襖と比べると下に張り重ねる紙の種類や枚数は少なくなりますが、それでもいきなり襖紙を貼ることはありません。
現在では茶ウケ紙など専用の下受け紙があるのですが、昔は紙が貴重だったり高価だったりでこういった反古紙を下張りに利用したようです。リサイクル、リユースですね。
古い衝立から出てきたこの反古紙には「大正三年」の表記が確認できますね。
ではこの衝立が大正三年あたりに作られたかというと、そうとは限らないのが面白いところ。表面の襖紙に色移りしたり突っ張ったりしないように、程良く乾いていて力の抜けた古紙を選んで貼る場合があったようです。
今回のタイトルは「反古紙はタイムカプセル」としましたが、このタイムカプセルは文字の書かれた時期と下張りとして貼り込まれた時期の二段構えということですね。
売掛台帳、古新聞、手紙、大福帳、借用書……様々な反古紙が存在します。
上の画像は醤油蔵で書かれた帳簿のようですね。
本様式ハ一般特別普通醬油用溜醬油用ト區分口坐ヲ設テ買入一口毎ニ整理スルモノトス
現代人が声に出して読むと段々とロボット声になってしまいそうです笑
最初にも書きましたが絶賛張替シーズン!
込み合っておりますがまだ年内納品が可能です。お早めに!
ちなみに……実はお盆や年末よりも熱くも寒くもない時期が張り替えの狙い目です。
張替は建具をお預かりします。その間は間仕切りが無く冷暖房の効きが悪くなるからです。
来年の春秋、張替いかがでしょう?
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