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PRODUCTION CASE

制作事例

執筆者の写真大池建具店

古建具 エイジング加工小障子

更新日:2020年9月12日



エイジング加工とは長年使いこんだ風合いをもたせる加工です。

古建具風、アンティーク風の建具を製作するときにご希望があれば施工しています。



今回はアンティークの大阪障子(縦格子の裏に取外しの出来る紙貼り小障子を組み込んだ障子。夏は格子戸、冬は障子と切り替えて使う)を手に入れたが、小障子が紛失しているとのご相談。建具本体を採寸しまして、小障子を新調する運びになりました。



国産の桧材で小障子を作るのですが、白木仕上げそのままでは建具本体の風合いと喧嘩してしまいます。新しい小障子ばかりが変に目立ってしまうというわけです。そこで今回はこの小障子にエイジング加工を施していきたいと思います。



①塗装

新調した小障子にステイン系塗料を塗っていきます。アンティークの建具本体は囲炉裏のある部屋で長い時間燻されていたようで、深いこげ茶色に独特の光沢感があります。それに寄せるため、2種類の塗料を時間差を設けて塗装。




②キズやへこみをつける

長い年月使われていたように見せるために頻繁に手の触れる箇所を重点的に摩耗させます。ここは動く部分だから擦り減るだろうなぁ、取り外すときに手をかける場所だから丸くなるはずだよなぁと想像しながら加工していきます。



その時々で道具を変えますが、画像ではなんと!「庭で拾った石」で傷をつけています。せっかく新しく作ったのにキズをつけるの!?とビックリされる方もいます。私も心苦しい部分がありますが、大事な工程なので心を鬼にして削ったり擦ったりしています。




③磨き

実は打痕や擦り傷だけではリアルな感じにならず、ただ傷んでるだけに見えてしまいます。落語などでは「時代が付いている」なんて表現をしますが、昔から大事に使われてきた道具は汚いだけではありません。上でも書きましたが、頻繁に触れられるので磨かれて独特の柔らかな光沢を持っています。それを再現するために大きくつけた傷をワイヤーブラシなどで磨いていきます。


磨くと同時に、経年変化で木目の硬い部分が浮き出ている様子も再現します。

こっくりとした艶がでたら完成です。




ちなみにこれは同じお宅の別の建具に使う取っ手金物。

手前が新品の状態。これもエイジング加工、シャビー塗装していきます。真鍮製の取っ手だったので経年変化で緑青が吹いたように見せています。これも良く触る部分は磨かれて、手の触れない部分だけ錆びたように調整して塗装しています。




さて、いかがでしたか?我ながら色んなことやってるなぁと思います笑

最近ではエイジング塗装専門の塗装屋さんもいるそうです。お部屋全体、店舗全体など広い面積をアンティーク調にしたい場合は彼らの方が得意かもしれません。



アンティークや骨董が好きだけどなかなか実用できるものが無いとお探しの方、新調してエイジング加工という手もありますよ。



※普段はおまかせで作らせてもらうことの多いオーダーメイド建具。このエイジング加工については見た目や感じ方に個人差が出やすい加工なので、事前に綿密な打ち合わせをいたします。参考画像など提示いただき、お施主さんの持つ完成イメージを十分に共有できた時のみ製作しています。まずはお問合せください。

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