襖張替の際にご相談いただくことがあるのが、明かり取り加工。
立地や間取りの関係で日の光が届かず、どうしても暗くなってしまうときに有効な加工です。
お預かり直後(左画像)と張替・加工後(右画像)の比較。
経年劣化とは読んで字のごとく、年数が経過することで傷んでしまう現象。ゆっくりとした傷み方なので普段の生活のなかでは気付きにくいかもしれません。しかしながらこうして並べてみるとやはり汚れや傷みが進んでいるのが良くわかるかと思います。
これまでは山水画でしたが張り替え後はスッキリと見せたいとのご希望で無地を選んでいただきました。引手も錆びていたので取り替え。基本的に当店では張り替えと同時に引手の新調もお勧めしています。紙が新しくなった時に引手はそのままだと錆びや汚れが悪目立ちしてしまうからです。
そして肝心の明かり取り窓。やはり和室周りの襖・障子というものは床座(椅子やソファを置かずに床に座る生活)を軸としてカタチを考えます。洋風ドアよりも引手の位置が低いことが多いのはまさにこれが理由です。同様に明かり取り窓も建具の半分から下寄りに設けまして、座った時に向こうの様子・気配が感じられやすいようにしています。又これにより見た目の重心も下がり落ち着いた空間になります。
今回は国産桧材を額縁に、6㎜厚中空ポリカプレートを入れています。このプレートはぶつかっても割れにくいので地震のときにも安心です。空気層を持ちますので多少なりとも断熱効果や遮音効果もあります。近くはよく見えて遠くはぼやける独特の見え方も面白いですね。
廊下側、プリント合板面。こちらも明かり取り窓がついてだいぶ雰囲気が変わりました。
大きく開口部を取ったので暗かった廊下にも和室側から日光が届くようになり、ご満足いただけたようで何よりです。
施工方法としましては……
ご希望の寸法を確認後、ノコギリで開口部を開けます。通常、断面には骨(木下地)がないので既存の骨と同じ厚みの木材を滑り入れて接着します。プレートやガラスをカットして、額縁材で押さえて完成となります。
和室まわりが暗いなぁと思いつつも我慢している方、あきらめている方が結構いらっしゃいます。照明を増やすのも手ですが、襖に明かり取り窓を設けるのはいかがですか?
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